血圧の薬を飲んでも下がらないのはなぜ?考えられる原因と受診の目安

高血圧の薬を毎日飲んでいるのに、

「家庭血圧が140~150くらいある」

「薬を増やしたのに血圧が下がらない」

「病院では薬が効いていると言われたけれど、朝の血圧が高い」

「何種類も薬を飲んでいるのに高いまま」

と心配になっていませんか?

高血圧の薬を飲んでいても、すぐに目標の血圧まで下がるとは限りません。

また、血圧が下がらない原因は「薬が効かない」だけではなく、

・血圧の測り方
・薬の飲み方
・塩分や飲酒などの生活習慣
・体重の増加
・睡眠時無呼吸症候群
・腎臓やホルモンの病気
・他に飲んでいる薬

など、さまざまです。

大切なのは、自己判断で薬を増減するのではなく、なぜ血圧が下がらないのかを順番に確認することです。

この記事では、高血圧の薬を飲んでも血圧が下がらない場合に考えられる原因や、医療機関で確認することについて、国分寺なみき内科クリニックが分かりやすく解説します。

高血圧そのものの原因・検査・治療について知りたい方は、国分寺市の高血圧治療についてをご覧ください。

薬を飲んでいるのに血圧が下がらないことはある?

あります。

降圧薬を飲み始めても、薬の種類や量、その方の血圧の状態によっては、すぐに目標値まで下がらないことがあります。

また、高血圧の治療では一度の血圧だけではなく、家庭血圧を含めて一定期間の傾向を見ることが重要です。

「今日140だったから薬が効いていない」

と1回の数値だけで判断することはできません。

一方、

・毎朝140~150mmHg以上になる
・数週間以上高い状態が続いている
・薬を増やしても変わらない
・複数の降圧薬を服用しているのに高い

といった場合には、血圧が十分にコントロールできていない原因を確認する必要があります。

日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025」でも、「コントロール不良の高血圧」「治療抵抗性高血圧」「二次性高血圧」が重要な診療テーマとして扱われています。

原因① 家庭血圧を正しく測れているか確認する

最初に確認したいのが、血圧の測り方です。

血圧は測定方法によって数値が変わることがあります。

例えば、

・測る直前まで歩いていた
・測定中に話している
・足を組んでいる
・背もたれを使わず不安定な姿勢で測っている
・カフの位置が適切でない
・測る時間が毎日違う

といった場合、実際より高い値が出ることがあります。

家庭血圧は、基本的に朝と夜に測定します。

朝は、

・起床後1時間以内
・排尿後
・朝食前
・降圧薬を飲む前
・椅子に座って1~2分安静にしてから

測定しましょう。

夜は就寝前に、同じように座って安静にしてから測定します。

1回だけの数字ではなく、複数日の血圧を記録することが重要です。

病院と家庭で血圧が大きく違う場合には、白衣高血圧や仮面高血圧が関係していることもあります。

詳しくは、病院では血圧が高いのに家では正常?白衣高血圧・仮面高血圧とはをご覧ください。

原因② 薬を毎日同じように飲めているか確認する

高血圧の薬は、基本的に継続して服用することで効果を発揮します。

しかし実際には、

「朝忙しくて飲み忘れることがある」

「血圧が低い日は飲まない」

「旅行や外出の日は忘れてしまう」

「薬がなくなりそうなので1日おきに飲んでいる」

ということもあります。

飲み忘れがあると、血圧が安定しにくくなります。

ただし、飲み忘れた分を自己判断でまとめて飲むことは避けてください。

また、

「薬を飲んでいるのに下がらないから、自分でもう1錠追加しよう」

とすることも危険です。

薬の増量や服用時間の変更は、家庭血圧の記録を確認したうえで医師と相談して行いましょう。

すでに薬そのものを中断してしまっている方は、高血圧の治療を中断してしまった方へもご覧ください。

原因③ 塩分を摂りすぎている

降圧薬を飲んでいても、塩分摂取量が多いと血圧が下がりにくくなることがあります。

特に注意したいのが、「自分ではそれほど塩分を摂っていない」と思っているケースです。

塩分は、

・ラーメンやうどんの汁
・味噌汁
・漬物
・加工肉
・惣菜
・冷凍食品
・インスタント食品
・外食

などにも多く含まれています。

「しょうゆをかけていないから減塩できている」とは限りません。

日本高血圧学会では、高血圧の方の食塩摂取量として1日6g未満を推奨しています。

血圧がなかなか下がらない場合には、一度普段の食生活を振り返ってみましょう。

原因④ 体重が増えている

高血圧の治療を始めたころと比べて体重が増えていないでしょうか。

体重増加や肥満は血圧を上昇させる原因になります。

例えば、

「薬を始めたころより5kg増えた」

「運動をしなくなった」

「外食や夜食が増えた」

という変化がある場合、以前と同じ薬を飲んでいても血圧が高くなることがあります。

高血圧の治療では、薬だけを見るのではなく、

・体重
・運動
・食生活
・飲酒
・睡眠

などの変化も一緒に確認することが大切です。

原因⑤ 飲酒量が増えている

飲酒も血圧に影響します。

毎日の飲酒量が多かったり、晩酌の量が以前より増えていたりすると、血圧が下がりにくくなることがあります。

特に、

「薬を飲んでいるから食生活は気にしなくても大丈夫」

というわけではありません。

高血圧の薬を使用していても、生活習慣の改善は治療の大切な一部です。

血圧が十分に下がらない場合には、アルコールの量や飲酒する日数についても見直してみましょう。

原因⑥ 睡眠時無呼吸症候群が隠れている

血圧の薬を飲んでもなかなか下がらない場合に、ぜひ確認しておきたいのが「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」です。

睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に呼吸が何度も止まったり浅くなったりすることで、体内の酸素が低下し、交感神経が活発になります。

その結果、夜間から早朝にかけて血圧が高くなりやすくなります。

特に、

・大きないびきをかく
・寝ている間に呼吸が止まると言われる
・朝起きたときに頭が重い
・十分寝ても疲れが取れない
・昼間に強い眠気がある
・肥満がある
・朝の血圧が特に高い
・複数の血圧の薬を飲んでも高い

という方は、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。

国分寺なみき内科クリニックでは、睡眠時無呼吸症候群について自宅で行える簡易睡眠検査にも対応しています。

詳しくは、国分寺市の睡眠時無呼吸症候群(SAS)についてをご覧ください。

また、特に朝の血圧が高い方は、朝だけ血圧が高いのはなぜ?早朝高血圧の原因と受診の目安もあわせてご覧ください。

原因⑦ 他の薬が血圧に影響していることがある

高血圧の薬以外に服用している薬が、血圧に影響することがあります。

例えば、一部の鎮痛薬やステロイド薬、交感神経を刺激する成分を含む薬などでは、血圧に影響を与える場合があります。

処方薬だけではなく、市販薬やサプリメントを使用している場合も、受診時に医師へ伝えてください。

ただし、

「この薬が血圧を上げているかもしれない」

と思っても、自己判断で処方薬を中止しないことが大切です。

まず現在服用している薬をすべて確認し、本当に変更が必要なのかを医師と相談しましょう。

受診時にはお薬手帳を持参することをおすすめします。

原因⑧ 腎臓やホルモンなど別の病気が隠れていることがある

高血圧の多くは、遺伝や加齢、生活習慣など複数の要因が関係する「本態性高血圧」です。

一方、別の病気や薬など明確な原因によって血圧が高くなる「二次性高血圧」もあります。

例えば、

・腎臓の病気
・腎臓の血管の異常
・原発性アルドステロン症などのホルモン異常
・睡眠時無呼吸症候群
・薬剤の影響

などが原因になることがあります。

特に、

・若いころから血圧が非常に高い
・急に血圧が高くなった
・以前は安定していたのに急に下がらなくなった
・複数の薬を使用しても血圧が高い
・血液検査でカリウムなどの異常を指摘された

といった場合には、必要に応じて二次性高血圧について調べることがあります。

高血圧の検査全般については、国分寺市の高血圧治療についてもご確認ください。

「治療抵抗性高血圧」とは?

生活習慣を改善し、複数の種類の降圧薬を適切に使用しているにもかかわらず、血圧が十分に下がらない状態を「治療抵抗性高血圧」と呼びます。

ただし、

「薬を2~3種類飲んでいるのに、今日の血圧が140だった」

というだけで、すぐ治療抵抗性高血圧と診断するわけではありません。

まず、

・正しく血圧を測れているか
・家庭血圧も本当に高いか
・薬を継続して飲めているか
・薬の種類や量は適切か
・塩分や飲酒などの影響はないか
・睡眠時無呼吸症候群などがないか
・二次性高血圧が隠れていないか

などを確認します。

つまり、単純に「もっと強い薬を追加すればよい」という問題ではありません。

血圧が下がらない原因を一つずつ整理することが重要です。

薬を増やせば血圧は下がる?

血圧が十分に下がっていない場合には、医師の判断で薬の量を調整したり、作用の異なる降圧薬を組み合わせたりすることがあります。

ただし、血圧を必要以上に急激に下げると、

・めまい
・ふらつき
・立ちくらみ
・転倒

などにつながることがあります。

そのため、

「140だから自分でもう1錠飲む」

「朝高いから薬を夜に変更する」

といった自己判断は避けてください。

家庭血圧の記録や血液検査、腎機能、年齢、他の病気などを確認しながら、一人ひとりに合った治療へ調整します。

高血圧の薬をいつから開始するのか、一生飲み続けるのか気になる方は、高血圧の薬はいつから必要?一生飲み続けるの?をご覧ください。

受診するときに持ってきてほしいもの

血圧の薬を飲んでも下がらない場合には、受診時に次の情報があると原因を判断しやすくなります。

・朝と夜の家庭血圧の記録
・現在のお薬手帳
・市販薬やサプリメントの情報
・健康診断結果
・過去の血液検査結果

特に家庭血圧については、

「だいたい140くらいです」

という情報より、

「朝は145~150/90前後、夜は130~135/80前後」

のように実際の記録がある方が治療方針を考えやすくなります。

スマートフォンに記録している場合には、その画面を受診時に見せていただいても構いません。

血圧が180/120mmHgを超えていたらどうする?

家庭で血圧を測って非常に高い値が出た場合には、まず座って安静にし、少し時間を置いてもう一度測定してください。

ただし、非常に高い血圧に加えて、

・突然の激しい頭痛
・胸の痛み
・強い息苦しさ
・意識がおかしい
・片側の手足が動かしにくい
・顔がゆがむ
・ろれつが回らない
・急に見えにくくなった

などの症状がある場合には、通常の外来を待たず救急受診が必要になることがあります。

「薬をもう1錠飲んで様子を見よう」と自己判断するのではなく、症状がある場合には速やかに医療機関へ相談してください。

国分寺市で血圧の薬を飲んでも下がらない方へ

「薬を毎日飲んでいるのに朝は150くらいある」

「薬が2種類、3種類と増えたけれど血圧が安定しない」

「病院では大丈夫と言われるけれど、家庭では高い」

という方は、一度原因を整理してみることが大切です。

国分寺なみき内科クリニックでは、高血圧について、薬を追加することだけを目的とするのではなく、

・家庭血圧の確認
・服薬状況
・食事や飲酒などの生活習慣
・体重変化
・血液検査、尿検査
・腎機能
・他の薬の影響
・睡眠時無呼吸症候群
・二次性高血圧の可能性

などを確認しながら診療します。

必要に応じて心電図やエコー検査などを行い、心臓や血管への影響も確認します。

「薬が効かない体質だから仕方がない」

と決めつけず、まず血圧が下がりにくい理由を一つずつ確認しましょう。

高血圧について詳しくは、国分寺市の高血圧治療についてをご覧ください。

心臓や血管について詳しい評価をご希望の方は、循環器内科についてもご確認ください。

まとめ

高血圧の薬を飲んでも血圧が下がらない場合、必ずしも「薬が効かない」ということではありません。

まず確認したいのは、

・家庭血圧を正しく測れているか
・薬を継続して飲めているか
・塩分や飲酒量が増えていないか
・体重が増えていないか
・他の薬が血圧に影響していないか
・睡眠時無呼吸症候群がないか
・腎臓やホルモンなど別の原因がないか

という点です。

特に複数の降圧薬を服用しても血圧が十分に下がらない場合には、治療内容を見直すだけではなく、二次性高血圧などの原因を調べることも重要です。

自己判断で薬を増減したり服用時間を変更したりせず、朝と夜の家庭血圧を記録して医療機関へ相談しましょう。

「薬を飲んでも下がらない」こと自体を諦めるのではなく、なぜ下がりにくいのかを確認することが、より適切な血圧管理につながります。

参考:日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」

■この記事の監修者

国分寺なみき内科クリニック 

院長 鈴木 愛(すずき めぐみ)


<所属学会・専門医>
日本内科学会 総合内科専門医・指導医 / 日本血液学会 血液専門医
日本造血細胞移植学会 造血細胞移植認定医 / 日本輸血・細胞治療学会 / 日本臨床腫瘍学会臨床研修指導医 / がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了

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