脂質異常症で動脈硬化はどこまで進んでいる?頸動脈エコーで分かること

「LDLコレステロールが高いと言われたけれど、実際に動脈硬化は進んでいる?」

「コレステロールが高い状態を何年も放置してしまった」

「薬を飲むべきか迷っているので、自分の血管の状態を知りたい」

「頸動脈エコーでは何が分かる?」

脂質異常症と診断された方から、このようなご相談をいただくことがあります。

LDLコレステロールや中性脂肪は血液検査で確認できますが、血液検査の数値だけでは、実際に血管壁にどの程度の変化が起きているのかを直接見ることはできません。

動脈硬化の状態を評価する方法のひとつが、頸動脈エコー(頸部血管超音波検査)です。

頸動脈エコーでは、首を通る頸動脈を超音波で観察し、

  • 血管壁の厚さ
  • プラークの有無
  • 血管の狭窄
  • 血流の状態

などを調べることができます。

国分寺なみき内科クリニックでは、脂質異常症・高血圧・糖尿病など動脈硬化リスクのある方について、必要に応じて頸動脈エコーを行っています。

この記事では、脂質異常症と動脈硬化、頸動脈エコーで分かることに焦点を絞って解説します。

脂質異常症そのものの原因・診断・治療について詳しく知りたい方は、
国分寺市の脂質異常症治療|コレステロール・中性脂肪が高い方へ
をご覧ください。

脂質異常症でなぜ動脈硬化が進む?

動脈硬化とは、動脈の壁が厚くなったり硬くなったりして、血管のしなやかさが失われていく状態です。

特にLDLコレステロールが高い状態が長期間続くと、LDLが血管壁に入り込み、炎症などを経てプラークと呼ばれる病変を形成することがあります。

プラークが増えると血管の内腔が狭くなることがあります。

さらに、プラークが不安定になって破れると血栓が形成され、

  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • 脳梗塞

などの動脈硬化性疾患につながる可能性があります。

脂質異常症で大切なのは、

「今コレステロールが高いかどうか」だけでなく、「その状態がどのくらい続いているか」

という点です。

LDLコレステロールが長年高い方ほど、血管が高いLDLにさらされる期間が長くなります。

そのため、自覚症状がなくても適切に管理することが大切です。

LDLが高ければ必ず動脈硬化が進んでいる?

必ずしもそうとは限りません。

動脈硬化の進み方には個人差があります。

LDLコレステロールだけでなく、

  • 年齢
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 喫煙
  • 慢性腎臓病
  • 肥満
  • 家族歴
  • 運動習慣
  • 遺伝的な体質

など、さまざまな要因が関係します。

たとえば同じLDL160mg/dLでも、

「30歳で他にリスクがない方」と、

「65歳で高血圧・糖尿病・喫煙歴がある方」

では、動脈硬化性疾患のリスクは同じではありません。

そのため、脂質異常症の治療ではLDLの数値だけではなく、その方が持っている動脈硬化リスクを総合的に評価することが重要です。

健康診断でLDL高値を指摘された方は、
健診でLDLコレステロールが高いと言われたら|どのくらいから受診が必要?
もご覧ください。

頸動脈エコーとは?

頸動脈エコーは、首の左右を通る頸動脈に超音波を当て、血管の状態を画像で確認する検査です。

検査では首にゼリーを塗り、超音波を出す機器を当てて血管を観察します。

放射線を使用しないため被ばくはありません。

また、針を刺したり造影剤を使用したりする検査ではないため、身体への負担が比較的少ないことも特徴です。

頸動脈は体の表面に近い場所を通っているため、超音波で血管壁や血流を観察しやすく、動脈硬化の評価に利用されています。

頸動脈エコーで何が分かる?

頸動脈エコーでは、主に次のような点を確認します。

血管壁の厚さ

頸動脈の壁には「内膜」「中膜」「外膜」があります。

エコーでは内膜と中膜を合わせた厚さを測定することがあり、これをIMT(内中膜厚)と呼びます。

IMTは年齢などによっても変化するため、数字だけで病気を判断するわけではありませんが、動脈硬化を評価する情報のひとつになります。

プラークの有無

血管壁の一部が局所的に厚くなったものをプラークと呼びます。

頸動脈エコーでは、

「プラークがあるか」

「どの程度の厚さか」

「どこにあるか」

などを確認します。

血管が狭くなっていないか

プラークが大きくなることで、血液が流れる部分が狭くなることがあります。

頸動脈エコーでは血管の形だけでなく血流速度なども確認し、狭窄の程度を評価します。

こうした情報から、血液検査の数値だけでは分からない血管そのものの状態を確認できます。

頸動脈エコーで心筋梗塞や脳梗塞が分かる?

頸動脈エコーは、心筋梗塞や脳梗塞を直接診断する検査ではありません。

また、首の血管を見れば全身のすべての血管の状態が完全に分かるわけでもありません。

ただし、頸動脈の動脈硬化は、全身の動脈硬化リスクを考えるうえで参考になる情報です。

日本動脈硬化学会でも、頸動脈エコーは動脈硬化度を非侵襲的に評価でき、冠動脈や頭蓋内動脈の動脈硬化性変化を予測する検査として臨床で利用されています。

そのため、

「血管の状態を評価する材料のひとつ」

と考えるとよいでしょう。

検査結果だけで将来の心筋梗塞や脳梗塞を正確に予測できるものではなく、血液検査・血圧・糖尿病・喫煙・家族歴などと合わせて評価することが大切です。

どんな人が頸動脈エコーを検討するといい?

脂質異常症がある方全員に、必ず頸動脈エコーが必要というわけではありません。

診察時には患者さんの年齢や検査値、基礎疾患などを確認したうえで必要性を判断します。

たとえば、

  • LDLコレステロール高値が長年続いている
  • LDLコレステロールがかなり高い
  • 高血圧もある
  • 糖尿病もある
  • 喫煙している、または長い喫煙歴がある
  • 家族に心筋梗塞や脳梗塞の方がいる
  • 若い頃からLDLが高い
  • 家族性高コレステロール血症が疑われる
  • 自分の動脈硬化の状態を確認したい

といった場合には、頸動脈エコーについて相談することがあります。

特に、複数の生活習慣病が重なっている場合には、脂質だけではなく血圧や血糖も含めて動脈硬化リスクを評価することが大切です。

高血圧・糖尿病があると動脈硬化リスクは高くなる?

高血圧や糖尿病も動脈硬化に深く関係します。

高血圧では、高い圧力が長期間血管にかかることで血管壁に負担がかかります。

糖尿病では、高血糖などを背景として血管障害が進みやすくなります。

そこにLDLコレステロール高値が加わると、複数の危険因子が重なることになります。

そのため、

「LDL150だからどうするか」

だけではなく、

LDL+血圧+血糖+喫煙などをまとめて評価する

ことが重要です。

高血圧については、
国分寺市の高血圧治療|血圧が高い方へ
をご覧ください。

糖尿病については、
糖尿病の症状・検査・治療について
もあわせてご確認ください。

若いのにLDLが高い方は家族歴も確認

20代・30代など若い頃からLDLコレステロールが非常に高い方では、家族性高コレステロール血症(FH)が隠れている場合があります。

FHでは、生まれつきLDLコレステロールが高いため、高いLDLにさらされる期間が長くなります。

そのため、一般の方より若い時期から動脈硬化が進む可能性があります。

特に、

  • 未治療時LDL180mg/dL以上
  • 家族にもLDLが非常に高い人がいる
  • 家族に若くして心筋梗塞・狭心症を発症した方がいる

場合には注意が必要です。

詳しくは、
若いのにLDLコレステロールが高いのはなぜ?家族性高コレステロール血症にも注意
をご覧ください。

頸動脈にプラークがあったらすぐ薬が必要?

頸動脈エコーでプラークが見つかったからといって、その結果だけで一律に薬物治療が決まるわけではありません。

プラークの有無は、動脈硬化の状態を考えるうえで重要な情報です。

一方、LDLコレステロールの管理目標や薬物治療の必要性は、

  • 心筋梗塞・狭心症などの既往
  • 脳梗塞などの既往
  • 糖尿病
  • 慢性腎臓病
  • 高血圧
  • 喫煙
  • 年齢
  • LDLコレステロール値

なども踏まえて決めます。

つまり、

「プラークがある=必ずスタチン」

という単純な考え方ではありません。

反対に、頸動脈エコーで大きな異常がなかったとしても、LDL高値をそのまま放置してよいとは限りません。

検査結果はあくまで動脈硬化リスクを評価する材料のひとつとして使います。

コレステロールの薬について詳しくは、
コレステロールの薬は一生飲む?スタチンを始める目安と副作用を解説
をご覧ください。

頸動脈エコーで異常がなければ脂質異常症の治療は不要?

いいえ。

頸動脈エコーで明らかなプラークや狭窄が見つからなかったとしても、

「血管が完全に健康だからLDLを放置していい」

という意味ではありません。

脂質異常症治療の目的は、現在見えている動脈硬化だけを治療することではなく、将来の動脈硬化性疾患を予防することです。

特にLDLが高い状態が今後何年、何十年と続けば、将来的に動脈硬化が進行する可能性があります。

そのため、血液検査+頸動脈エコーなどの検査+年齢・基礎疾患・喫煙・家族歴を組み合わせて考えることが重要です。

頸動脈エコーは何回も受ける必要がある?

頸動脈の動脈硬化は、通常は短期間で急激に変化するものではありません。

そのため、検査結果や患者さんの動脈硬化リスクに応じて、再検査の時期を決めます。

日本動脈硬化学会では、明らかな異常がない場合と、IMT肥厚・プラークなどがある場合ではフォローアップの考え方が異なるとしています。

一方で、狭窄やプラークの性状によっては、より短期間での再評価が必要になるケースもあります。

「毎年必ず受ける」

「一度受ければ一生必要ない」

というものではなく、検査結果に応じて医師と相談しましょう。

国分寺なみき内科クリニックでは動脈硬化リスク健診にも対応

当院では通常の脂質異常症診療に加えて、動脈硬化リスク健診にも対応しています。

動脈硬化リスク健診では、

  • 頸部血管エコー
  • アポリポ蛋白B(ApoB)
  • リポ蛋白(a)[Lp(a)]

などを用いて、動脈硬化リスクをより詳しく確認します。

「LDLが高いだけではなく、自分の血管の状態も確認したい」

「家族に心筋梗塞が多い」

「生活習慣病が複数あるので動脈硬化が心配」

という方はご相談ください。

検査内容について詳しくは、
健康診断・動脈硬化リスク健診について
をご覧ください。

脂質異常症と頸動脈エコーについてよくある質問

LDLが高ければ頸動脈エコーを受けた方がいいですか?

すべての方に必須というわけではありません。LDL値、年齢、高血圧・糖尿病・喫煙歴・家族歴などを確認し、必要性を判断します。

頸動脈エコーは痛いですか?

基本的には痛みのない検査です。首にゼリーを塗り、超音波を出す機器を当てて血管を観察します。

放射線被ばくはありますか?

ありません。超音波を使用する検査です。

プラークとは何ですか?

血管壁に脂質などが蓄積し、局所的に盛り上がった病変です。大きさや性状、狭窄の有無などを評価します。

頸動脈エコーで心臓の血管も分かりますか?

頸動脈エコーで直接観察するのは首の頸動脈です。冠動脈そのものを見る検査ではありません。ただし、全身の動脈硬化リスクを考える参考になります。

頸動脈エコーが正常ならコレステロールの薬は不要ですか?

検査結果だけで薬の必要性は決まりません。LDL値や高血圧・糖尿病、心血管疾患の既往などを含めて判断します。

中性脂肪が高い場合にも動脈硬化は関係しますか?

高トリグリセライド血症も動脈硬化性疾患のリスクと関連します。中性脂肪だけ高い方は、
中性脂肪だけ高いのはなぜ?TGが高くなる原因と再検査・受診の目安
をご覧ください。

国分寺で脂質異常症・動脈硬化が心配な方へ

脂質異常症は、自覚症状がほとんどないまま経過します。

そのため、

「LDLが高いけれど元気だから大丈夫」

「何年も健診で指摘されているけれど症状はない」

という方も少なくありません。

しかし、脂質異常症の治療で大切なのは、現在の症状を改善することではなく、将来の心筋梗塞や脳梗塞などを予防することです。

頸動脈エコーは、

  • 血管壁の厚さ
  • プラークの有無
  • 血管の狭窄
  • 血流

などを確認できる、動脈硬化評価のひとつです。

国分寺なみき内科クリニックでは、

健康診断結果の確認
→ LDL・中性脂肪などの評価
→ 高血圧・糖尿病など他のリスク確認
→ 必要に応じて頸動脈エコー
→ 動脈硬化リスクに応じた生活習慣改善・薬物治療

という流れで診療します。

国分寺市をはじめ、小平市・立川市・国立市周辺で、

「LDLが高い状態を長年放置している」

「自分の動脈硬化が進んでいるか知りたい」

「頸動脈エコーを受けた方がいいか相談したい」

「高血圧・糖尿病・脂質異常症が重なっている」

「家族に心筋梗塞や脳梗塞の人がいる」

という方はご相談ください。

脂質異常症全体について詳しくは、
国分寺市の脂質異常症治療|コレステロール・中性脂肪が高い方へ
をご覧ください。

■この記事の監修者

国分寺なみき内科クリニック 

院長 鈴木 愛(すずき めぐみ)


<所属学会・専門医>
日本内科学会 総合内科専門医・指導医 / 日本血液学会 血液専門医
日本造血細胞移植学会 造血細胞移植認定医 / 日本輸血・細胞治療学会 / 日本臨床腫瘍学会臨床研修指導医 / がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了

そんなときこそ、

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