糖尿病と腎臓の関係|尿アルブミン・尿蛋白でわかる糖尿病性腎症

糖尿病と診断されている方の中には、
「血糖値やHbA1cは定期的に測っているけれど、腎臓の検査はよくわからない」
「尿蛋白が出ていると言われた」
「尿アルブミンとは何の検査?」
「腎機能が正常なら心配しなくていい?」
と疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
糖尿病は血糖値だけを管理すればよい病気ではありません。
高血糖の状態が長期間続くことで全身の細い血管が傷つき、目・腎臓・神経などに合併症が起こることがあります。
腎臓に起こる代表的な合併症が糖尿病性腎症です。
糖尿病性腎症は初期には自覚症状がほとんどないことも多いため、血液検査だけでなく、尿アルブミンや尿蛋白、eGFRなどを定期的に確認することが大切です。糖尿病情報センターでも、症状の有無にかかわらず、糖尿病がある方には尿検査と血液検査による定期的な腎機能評価が必要とされています。
この記事では、糖尿病と腎臓の関係、尿アルブミン・尿蛋白・eGFRの意味、糖尿病性腎症を早期に見つける重要性について、国分寺なみき内科クリニックがわかりやすく解説します。
糖尿病そのものの原因・検査・治療について知りたい方は、当院の糖尿病内科についてもあわせてご覧ください。
糖尿病性腎症とは?
腎臓には、血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として体の外へ排出する働きがあります。
腎臓の中には「糸球体」と呼ばれる細い血管の集まりがあり、フィルターのような役割をしています。
糖尿病によって高血糖の状態が長く続くと、この細い血管に負担がかかり、少しずつ腎臓のろ過機能が障害されることがあります。
これが糖尿病性腎症です。
腎臓のフィルターが傷み始めると、本来は血液中に残っているはずのアルブミンという蛋白質が尿の中へ漏れ出すことがあります。
日本糖尿病学会では、尿中アルブミン排泄の増加は、その後の腎機能低下と関連する重要な所見としています。
糖尿病性腎症で注意したいのは、腎臓が傷み始めても初期にはほとんど症状がないことです。
「むくんでいないから大丈夫」
「尿の量は普通だから問題ない」
とは限りません。
症状が出る前から検査によって変化を見つけることが重要です。
尿アルブミン・尿蛋白・eGFRは何を見る検査?
糖尿病による腎臓への影響を確認する際には、主に「尿」と「血液」の両方を調べます。
尿アルブミン
アルブミンは血液中に存在する蛋白質です。
正常な腎臓では尿中に大量に排出されませんが、腎臓の細い血管が傷み始めると、少量のアルブミンが尿中へ漏れるようになります。
そのため、尿アルブミンは糖尿病性腎症の早期発見に重要な検査です。
日本糖尿病学会の糖尿病診療ガイドライン2024では、尿アルブミン・クレアチニン比(UACR)について、
30mg/gCr未満:正常アルブミン尿
30~299mg/gCr:微量アルブミン尿
300mg/gCr以上:顕性アルブミン尿
と分類しています。
ただし、数値だけを見て自己判断するのではなく、血糖状態や腎機能、血圧などとあわせて医師が総合的に判断します。
尿蛋白
一般的な健康診断などでも行われる尿検査です。
尿中に蛋白質が多く漏れていないかを確認します。
尿蛋白が陽性の場合には腎臓病が隠れている可能性がありますが、糖尿病性腎症の早い段階では通常の尿蛋白検査では異常が出ないこともあります。
そのため、糖尿病患者さんの腎臓を詳しく評価する際には、尿アルブミン検査が重要になります。
eGFR
eGFR(推算糸球体ろ過量)は、腎臓がどの程度血液をろ過できているかを示す指標です。
主に血液中のクレアチニン値、年齢、性別などから計算します。
数値が低くなるほど腎臓のろ過能力が低下していることを示します。
重要なのは、尿アルブミンとeGFRの両方を見ることです。
糖尿病患者さんの中には、尿アルブミンがそれほど増えていなくても腎機能が低下する場合があります。そのため、「尿蛋白が陰性だから腎臓は絶対に大丈夫」と判断することはできません。
なぜ早い段階で尿アルブミンを調べるの?
糖尿病性腎症では、腎機能が大きく低下する前に尿アルブミンが増えてくることがあります。
つまり、
症状が出る前に腎臓への影響を見つけるためのサインの一つ
が尿アルブミンです。
腎機能は一度大きく低下すると回復が難しい場合があるため、日本糖尿病学会でも早期診断・早期治療によって腎機能低下を防ぐことの重要性が示されています。
そのため糖尿病診療では、
- 血糖値・HbA1c
- 尿アルブミン・尿蛋白
- クレアチニン・eGFR
- 血圧
- 脂質
- 体重
などを総合的に確認することが大切です。
「HbA1cがそれほど高くないから腎臓も問題ない」とは限りません。
血糖値とHbA1cが何を表しているのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
糖尿病で腎臓を守るために大切なこと
糖尿病性腎症を予防したり、進行を抑えたりするためには、腎臓だけを見るのではなく、糖尿病を含めた全身の管理が重要です。
特に大切なのが血糖管理と血圧管理です。
高血糖が続くことは腎臓の細い血管への負担につながります。また、高血圧も腎機能低下を進める要因となるため、糖尿病と高血圧の両方がある場合には適切な管理が必要です。
脂質異常症、肥満、喫煙などについても、患者さん一人ひとりの状態に応じて改善していきます。
糖尿病性腎症の状態によっては、腎臓を保護する効果が期待できる糖尿病治療薬や降圧薬などを使用する場合があります。
また、腎機能が低下している方では、食事療法の内容も変わることがあります。
「腎臓が悪いなら、とりあえず蛋白質を減らそう」
などと自己判断で極端な食事制限を行うのではなく、腎機能や尿蛋白の状態を確認したうえで、医師や管理栄養士と相談することが大切です。
当院では糖尿病をはじめとした生活習慣病について、検査結果や生活環境に合わせて継続的な管理を行っています。
糖尿病と腎臓についてよくある質問
尿蛋白がマイナスなら糖尿病性腎症ではありませんか?
尿蛋白が陰性でも、糖尿病性腎症の早い段階では少量のアルブミンが尿中に出ている場合があります。また、アルブミン尿が増えずに腎機能が低下する方もいるため、尿蛋白だけではなく尿アルブミンやeGFRなども確認することが重要です。
尿アルブミンが高いと透析になりますか?
尿アルブミンが高いからといって、すぐに透析が必要になるわけではありません。ただし、尿アルブミンの増加は腎機能低下のリスクと関連するため、血糖・血圧・腎機能などを確認しながら適切に管理することが重要です。
クレアチニンが正常なら腎臓は大丈夫ですか?
クレアチニンだけで腎臓の状態を完全に判断することはできません。eGFRや尿アルブミン、尿蛋白などもあわせて確認します。
糖尿病になったばかりでも腎臓の検査は必要ですか?
特に2型糖尿病では、実際に血糖値が高くなり始めた時期がはっきりしないことがあります。糖尿病と診断されたら、血糖だけではなく腎臓を含めた合併症についても定期的に確認していくことが大切です。
健康診断の尿蛋白がプラスでした。糖尿病が原因ですか?
尿蛋白が陽性になる原因は糖尿病性腎症だけではありません。他の腎臓病や一時的な変化などでも陽性になることがあります。健診結果を持参して医療機関へご相談ください。
国分寺市で糖尿病・腎機能について相談したい方へ
糖尿病治療の目的は、単に血糖値やHbA1cを下げることだけではありません。
腎臓・目・神経・心臓・血管などの合併症をできるだけ予防し、健康な生活を長く続けることが重要です。
国分寺市並木町の国分寺なみき内科クリニックでは、糖尿病の血糖管理だけでなく、腎機能を含めた合併症の評価にも対応しています。
当院では、血液検査による腎機能評価や尿検査に対応しています。また、健康診断では通常の尿検査(糖・蛋白・潜血)に加えて、糖尿病リスク健診として尿中アルブミン/クレアチニン検査にも対応しています。
「糖尿病と言われているが腎臓の検査を受けていない」
「尿蛋白を指摘された」
「尿アルブミンについて相談したい」
「クレアチニンやeGFRが気になる」
「健診で血糖値と腎機能の両方を指摘された」
という方もご相談ください。
健康診断で血糖値そのものを高いと指摘された方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
健診で血糖値が高いと言われたら|受診の目安と何科を受診する?
まとめ
糖尿病性腎症は、糖尿病によって腎臓の細い血管が障害される合併症です。
初期には自覚症状がないことも多いため、
「症状がないから大丈夫」ではなく、症状がない時期から腎臓をチェックすること
が重要です。
特に糖尿病患者さんでは、血糖値やHbA1cだけではなく、尿アルブミン・尿蛋白・クレアチニン・eGFRなどを定期的に確認します。
糖尿病を適切に管理しながら腎臓の変化を早期に発見し、将来の腎機能低下をできるだけ防いでいきましょう。
参考文献
日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」
国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「腎症」
日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド」

■この記事の監修者
国分寺なみき内科クリニック
院長 鈴木 愛(すずき めぐみ)
<所属学会・専門医>
日本内科学会 総合内科専門医・指導医 / 日本血液学会 血液専門医
日本造血細胞移植学会 造血細胞移植認定医 / 日本輸血・細胞治療学会 / 日本臨床腫瘍学会臨床研修指導医 / がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
「症状が気になるけれど、
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まずは当院へお越しください。
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皆様の健康を支えてまいります。
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