糖尿病の治療を中断してしまった方へ|再受診が必要な理由と受診時のポイント

以前、糖尿病と診断されて通院していたものの、
「仕事が忙しくなって通院しなくなった」
「薬がなくなったまま受診していない」
「数値が良くなったので自分で治療をやめた」
「引っ越しをきっかけに病院へ行かなくなった」
「しばらく間が空いてしまい、今さら受診しづらい」
という方はいらっしゃいませんか?
糖尿病は、血糖値が高くても自覚症状がほとんどないことがあります。
そのため、治療を中断しても体調に大きな変化がなく、
「症状がないから大丈夫」
と思ってしまうことがあります。
しかし、高血糖の状態が続くと、目・腎臓・神経などの細い血管だけでなく、心臓や脳などの血管にも影響する可能性があります。
大切なのは、治療を中断してしまったことを気にして受診を先延ばしにするのではなく、現在の状態を一度確認することです。
数か月、あるいは数年間通院していなかった場合でも、再受診することはできます。
この記事では、糖尿病治療を中断するとどのような問題が起こる可能性があるのか、再受診ではどのような検査をするのか、受診前に準備しておくとよいことについて、国分寺なみき内科クリニックがわかりやすく解説します。
糖尿病の検査・治療・合併症について詳しく知りたい方は、国分寺なみき内科クリニックの糖尿病内科もあわせてご覧ください。
糖尿病は症状がなくても治療継続が大切です
糖尿病というと、
「のどが渇く」
「水をたくさん飲む」
「尿の回数が増える」
「体重が減る」
といった症状をイメージする方も多いと思います。
しかし、血糖値が高くても、必ずこのような症状が出るわけではありません。
特に2型糖尿病では、自覚症状がほとんどないまま高血糖が続くことがあります。
治療によってHbA1cや血糖値が改善すると、
「糖尿病が治ったから、もう通院しなくても大丈夫」
と思うこともあるかもしれません。
しかし、数値が改善したのは、
- 食事や運動を見直した
- 体重が減った
- 薬が効いている
- 定期的な診療を続けている
など、治療の効果による可能性があります。
糖尿病では、良い状態を維持していくことが重要です。
薬を使用していない場合でも、定期的に血糖値やHbA1cを確認しながら経過を見る必要がある方もいます。
現在のHbA1cや血糖値が何を表しているのかわからない方は、血糖値とHbA1cの違いについての記事も参考にしてください。
糖尿病の治療を中断するとどうなる?
糖尿病治療を中断したからといって、すぐにすべての方に症状や合併症が出るわけではありません。
問題は、自分では気づかないうちに血糖値が再び高くなっている可能性があることです。
血糖値が高い状態が長く続くと、
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病性腎症
- 糖尿病性神経障害
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 足の血流障害や足病変
などの合併症につながる可能性があります。
また、治療を中断している期間は血液検査や尿検査を受ける機会も少なくなるため、糖尿病だけでなく、
- 高血圧
- 脂質異常症
- 腎機能低下
- 肝機能異常
などの変化にも気づきにくくなります。
糖尿病情報センターでも、受診を中断すると、血糖値の検査や治療上のアドバイスを受ける機会だけでなく、糖尿病合併症を早期に発見する機会も失いやすくなることが指摘されています。
だからこそ、
「体調は悪くないからもう少し様子を見よう」
ではなく、一度現在の状態を確認することが大切です。
久しぶりに受診すると何を調べる?
糖尿病の治療を中断していた方が再受診した場合、まず現在の糖尿病の状態を確認します。
一般的には、
- 血糖値
- HbA1c
- 腎機能
- 肝機能
- コレステロール・中性脂肪
- 血圧
- 体重
- 尿検査
などを、患者さんの状態に応じて確認します。
大切なのは、以前の薬をそのまま再開すればよいとは限らないことです。
治療を中断している間に、
- 体重が変化している
- 腎機能が変化している
- 他の病気が見つかっている
- 他院から新しい薬が処方されている
- 食生活や運動習慣が変わっている
こともあります。
そのため、現在の検査結果や生活状況を確認したうえで、必要な治療をあらためて考えます。
以前処方された糖尿病薬が自宅に残っていても、自己判断で古い薬を再開するのではなく、まず医療機関へ相談してください。
また、以前HbA1c 6.5%以上を指摘され、そのまま受診していない方は、HbA1c 6.5%以上を指摘された場合の受診目安もあわせてご覧ください。
こんな症状がある場合は早めに受診してください
糖尿病の治療を中断している方で、
- 強いのどの渇きがある
- 水を大量に飲むようになった
- 尿の回数や量が増えた
- 短期間で体重が減った
- 強いだるさがある
- 吐き気や嘔吐がある
- 腹痛がある
- 意識がぼんやりする
などの症状がある場合には、血糖値が著しく高くなっている可能性があります。
特に注意が必要なのが、インスリン治療を自己判断で中断している場合です。
1型糖尿病などでインスリンが大きく不足すると、糖尿病性ケトアシドーシスという緊急性の高い状態になることがあります。
吐き気・嘔吐、腹痛、強い倦怠感、深く速い呼吸、意識障害などがみられる場合には、通常の外来受診を待たず、速やかな医療機関への受診が必要です。
日本糖尿病学会も、インスリン注射の中断が糖尿病性ケトアシドーシスの原因になることがあると説明しています。
再受診するときに準備しておくとよいもの
久しぶりに糖尿病で受診する場合、すべてを正確に覚えている必要はありません。
可能であれば、
- 過去の健康診断結果
- 以前通院していた医療機関の検査結果
- お薬手帳
- 現在服用している薬がわかるもの
- 自宅で血糖測定をしている場合はその記録
などを持参すると、これまでの経過を確認しやすくなります。
また、
「いつから通院していないかよく覚えていない」
「以前のHbA1cを覚えていない」
「薬の名前を忘れてしまった」
という場合でも、受診をためらう必要はありません。
わかる範囲から現在の状態を確認していきます。
治療についても、最初から大きく生活を変えるのではなく、
- 食事
- 運動
- 体重管理
- 薬物治療
- 通院間隔
などを現在の生活状況に合わせて考えていくことが重要です。
糖尿病治療は長期間続くため、無理なく継続できる方法を一緒に考えることが大切です。
糖尿病治療の中断についてよくある質問
半年以上通院していません。今から受診しても大丈夫ですか?
大丈夫です。まず現在の血糖値やHbA1cなどを確認し、その結果に応じて今後の治療を考えます。通院していない期間が長いほど受診しづらく感じる方もいますが、先延ばしにせず一度状態を確認しましょう。
薬をやめてから体調は良いのですが、受診は必要ですか?
糖尿病では血糖値が高くても自覚症状がない場合があります。体調だけでは血糖状態を判断できないため、血液検査などで確認することをおすすめします。
以前の糖尿病薬が残っています。飲み始めてもいいですか?
自己判断で再開することはおすすめしません。腎機能や体重、現在服用している薬などが以前と変わっている可能性があります。まず医療機関へご相談ください。
HbA1cが改善したので治療をやめました。糖尿病は治ったのでしょうか?
HbA1cが改善していても、その良い状態が継続しているか定期的に確認することが大切です。生活習慣の改善などによって薬を使用せず良好な状態を維持できる方もいますが、自己判断で通院を終了せず主治医と相談しましょう。
以前とは別の病院で糖尿病治療を再開できますか?
可能です。以前の検査結果やお薬手帳があれば持参してください。資料が手元になくても、現在の状態を確認しながら治療方針を検討できます。
国分寺市で糖尿病治療を再開したい方へ
糖尿病の治療を中断する理由はさまざまです。
仕事が忙しかった、引っ越した、症状がなかった、薬がなくなったまま時間が経ってしまったなど、気づいたら受診から長い期間が空いていたということもあります。
大切なのは、
「中断してしまったから受診しづらい」と考えて、さらに受診を先延ばしにしないことです。
国分寺市並木町の国分寺なみき内科クリニックでは、
「以前糖尿病の治療をしていたが通院をやめてしまった」
「糖尿病の薬をしばらく飲んでいない」
「以前HbA1cが高いと言われたが、そのままになっている」
「引っ越してきたので糖尿病治療を再開したい」
「現在の血糖値がどうなっているか知りたい」
といった方のご相談にも対応しています。
まず現在の血糖値・HbA1cや全身状態を確認し、患者さんの生活環境に合わせて今後の治療を考えていきます。
糖尿病の診療内容について詳しくは、国分寺なみき内科クリニックの糖尿病内科をご覧ください。
まだ糖尿病と診断されておらず、「糖尿病予備群」と言われている方は、糖尿病予備群の改善と受診の目安をご覧ください。
まとめ
糖尿病は、自覚症状がないまま高血糖が続くことがある病気です。
治療を中断していても体調に変化がないため、
「もう大丈夫なのでは?」
と思ってしまうことがあります。
しかし、大切なのは体調だけではなく、血糖値・HbA1cや合併症の状態を定期的に確認することです。
糖尿病治療を中断している方は、
- 自覚症状がなくても一度現在の状態を確認する
- 残っている薬を自己判断で再開しない
- 過去の健診結果やお薬手帳があれば持参する
- 血糖だけでなく腎臓・目・神経などの合併症にも注意する
- インスリン中断後に強い症状がある場合は速やかに受診する
ことが重要です。
数か月、数年と間が空いていた場合でも、治療を再開することはできます。
「今の状態を知ること」から、もう一度始めていきましょう。
参考文献
日本糖尿病学会「糖尿病治療の手びき2026」
日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2024」
日本糖尿病学会「糖尿病合併症について」
国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「糖尿病に関する統計・調査と社会的な取組み」

■この記事の監修者
国分寺なみき内科クリニック
院長 鈴木 愛(すずき めぐみ)
<所属学会・専門医>
日本内科学会 総合内科専門医・指導医 / 日本血液学会 血液専門医
日本造血細胞移植学会 造血細胞移植認定医 / 日本輸血・細胞治療学会 / 日本臨床腫瘍学会臨床研修指導医 / がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
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