脂質異常症の原因や治療法を内科専門医が徹底解説

脂質異常症とは
脂質異常症は、
・悪玉(LDL)コレステロールが高い
・善玉(HDL)コレステロールが低い
・中性脂肪(TG)が高い
のいずれかを満たす状態です。
症状がほとんどありませんが、放置すると動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる疾患につながることがあります。
そのため、「沈黙の血管病」とも呼ばれています。

血液検査で異常を指摘された場合は、早めに生活習慣を見直し、必要に応じて治療を始めることが大切です。
脂質異常症の主な原因
食生活の乱れ
脂質異常症の最大の原因は「食生活」にあります。
揚げ物や脂身の多い肉、バターやクリームなどに含まれる「飽和脂肪酸」を摂りすぎると悪玉コレステロール(LDL)が上昇します。
一方、魚やナッツ類に含まれる「不飽和脂肪酸(EPA・DHA)」は血管を守る働きがあり、積極的に取り入れることが推奨されます。
肥満・運動不足
体脂肪率が増えると肝臓で中性脂肪が合成され、高TG血症や低HDL血症を招きます。
遺伝・体質の影響
家族性高コレステロール血症など、遺伝的にLDLコレステロールが高くなる体質の方もいます。
若年でも動脈硬化が進みやすく、30-40歳代でも心筋梗塞などの重篤な病気を発症することもあるため早期に治療が必要です。
喫煙・飲酒・ストレス
喫煙は善玉コレステロール(HDL)を減らし、血管の炎症を促進します。
過度な飲酒やストレスも中性脂肪の上昇につながるため、注意が必要です。
脂質異常症の症状と合併症
自覚症状がほとんどない理由
脂質異常症は、血液検査でしか見つからないことが多い病気です。
血液がドロドロになっても、初期の段階では体に痛みや違和感がありません。
そのため、「健康診断で指摘されたけど放置している」という方が少なくありません。
放置すると進行する合併症
血液中の脂質が増えると、血管の内壁にコレステロールが沈着してプラーク(こぶ)ができます。
このプラークが破れて血栓ができると、以下のような疾患を引き起こします。
● 狭心症・心筋梗塞(心臓に栄養する冠動脈が詰まって胸痛を来す)
● 脳梗塞(脳の血流が途絶え、重篤な麻痺や感覚障害を来す)
● 閉塞性動脈硬化症(足の血流が悪くなり、しびれや壊死を起こす)
脂質異常症の診断と検査方法
血液検査での診断
脂質異常症の診断は、空腹時の採血で、行います。
診断の基準(日本動脈硬化学会より)
● LDLコレステロール:140mg/dL以上
● HDLコレステロール:40mg/dL未満
● 中性脂肪(トリグリセライド):150mg/dL以上(空腹時)
これらのいずれかに該当すると、脂質異常症と診断されます。
※家族性高コレステロール血症と診断されている場合は基準が異なります。
追加で行う検査
動脈硬化の進行や合併症の有無を調べるため、以下の検査を行うこともあります。
●頸動脈エコー:動脈硬化の有無を確認
●心電図•心エコー:心臓の影響を評価
●血糖•HbA1c:糖尿病との関連を確認
脂質異常症の治療方法
生活習慣の見直し
軽度の脂質異常症では、まず生活習慣の改善から始めます。
● 飽和脂肪酸(バター・脂身)を控える
● 魚・大豆・野菜を多く摂る
● アルコールを控え、禁煙を心がける
● 有酸素運動を1日30分、週3〜5回続ける

薬による治療
生活改善だけで数値が改善しない場合、動脈硬化リスクが高い場合は薬を併用します。
代表的な薬の種類
| スタチン系薬 | LDLコレステロールを下げる |
|---|---|
| フィブラート系薬 | 中性脂肪を下げる |
| エゼチミブ | 腸でのコレステロール吸収を抑える |
| EPA製剤 | 血液をサラサラにして中性脂肪を改善 |
治療を途中でやめてはいけない理由
「検査値が下がったから」といって薬をやめると、再び悪化し動脈硬化が進行します。
医師と相談して段階的に調整することが重要です。
よくあるご質問
- 脂質異常症はどんな人に多いですか?
-
40代以降の方に多いですが、食生活の変化により若い世代でも増えています。家族に高コレステロールの人がいる場合は特に注意が必要です。
- 脂質異常症は自覚症状がありますか?
-
ほとんどの場合は症状がありません。健康診断で「コレステロールが高い」と指摘されたら、早めに受診しましょう。
- 善玉コレステロールを増やすにはどうすればいいですか?
-
魚やナッツ、オリーブオイルなどの良質な脂を摂ること、禁煙・適度な運動を続けることが効果的です。
- 薬を飲み始めたら一生続ける必要がありますか?
-
生活習慣を改善し、数値が安定すれば薬を減らせる場合もあります。自己判断せず、医師と相談しながら進めましょう。
- 食事制限はどのくらい厳しくすべきですか?
-
極端に制限する必要はありません。脂質・糖質・たんぱく質をバランスよく摂ることが大切です。
- 卵は食べても大丈夫ですか?
-
1日1個程度であれば問題ないとされています。食事全体のバランスを意識しましょう。
- お酒は脂質に影響しますか?
-
過剰な飲酒は中性脂肪を上げます。適量(1日1合程度)を守るようにしましょう。
- 運動を始めるときの注意点はありますか?
-
普段運動習慣がない方は急激な運動で関節や腰を痛めてしまう可能性があります。医師と相談のうえ、無理のない範囲で始めてください。
- 薬の副作用はありますか?
-
筋肉痛や肝機能障害が起こることがあります。定期的な採血で確認します。

院長からのメッセージ
脂質異常症は、気づかないうちに血管を傷つけていく病気です。
「症状がないから大丈夫」と思っていても、動脈硬化は静かに進んでいきます。
血液検査で数値を指摘されたときこそ、ご自身の体と向き合うチャンスです。
当院では、お薬の処方だけでなく、食事や運動、生活リズムの見直しまで、患者さんに合わせたサポートを行っています。
無理なく続けられる方法を一緒に考え、心も体も健康に保てるようお手伝いいたします。
健康診断の結果に少しでも不安があれば、どうぞ気軽にご相談ください。


■この記事の監修者
国分寺なみき内科クリニック
院長 鈴木 愛(すずき めぐみ)
<所属学会・専門医>
日本内科学会 総合内科専門医・指導医 / 日本血液学会 血液専門医
日本造血細胞移植学会 造血細胞移植認定医 / 日本輸血・細胞治療学会 / 日本臨床腫瘍学会臨床研修指導医 / がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会終了
<所属学会・専門医>
日本内科学会 総合内科専門医・指導医/日本血液学会 血液専門医/日本造血細胞移植学会 造血細胞移植認定医/日本輸血・細胞治療学会/日本臨床腫瘍学会臨床研修指導医/がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会終了
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